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  • 2017.10.22 Sunday
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海軍史著作リストを作りました。

最近、イギリス海軍に関わる著作が日本でも少しづつ増えているという印象があります。これは書籍(学術・一般を問わず)の出版から言えることですが、学術論文に関しても同様のようで、自分の研究関心に近い論文については日本から取り寄せたりもしています。

日本における海軍史研究状況は最近どうなのか、というのは、昨年の日英歴史家会議でジョン・ダーウィン教授によって投げかけられていた質問でもあります。1994年までの日本の研究状況については、J. Hattendorf (ed.), Ubi Sumus?: The state of naval and maritime history (Rhodes Is., 1994)に、日本海軍史研究者のマーク・ピーティ教授、デイヴィッド・エヴァンス教授によるかなり悲観的な報告が掲載されていましたが、その後変化はあったのでしょうか。

自分でも気になって、今回、不完全ながら海軍史著作リストを作ってみました。折角の機会ですので、イギリスだけでなく、ヨーロッパ諸国、日本なども含めました。一度に過去全ての論文をリスト化するというのは大変ですので、最近のものから少しずつ遡る方針で作っています。今のところ、2007年から2009年までに限定していますが、改めて著作の多さに驚きました。

海軍史著作リスト

基本的にはCiNiiの検索(キーワード:海軍)に頼っていますので、取り上げられていない文献も多々あるかも知れません。特に書籍に収録されている論文は検索に掛かりませんので、見落としがあるかと思います。追記すべき書籍・論文などに気付かれた方は、ぜひinfo[@]navalhistory.jpまでご連絡下さい。

Mini-Viva通過。

カレッジにもよりますが、イギリスの大学はだいたいM.Phil.コースへ入学後一年程度経ってから、博士論文を執筆する研究能力があるかを判断することになっています。もしこの段階で研究能力が不十分と判断されれば、最悪の場合、M.Phil.として“卒業させられる”ことになります。(なお、KCLではこの過程をアップグレードと呼びますが、オックスブリッジなどではトランスファーと呼ぶ模様。)

本日、このアップグレードの可否を判断するMini-Vivaがあり、PhDへのアップグレードが認められました。試験官は同じ戦争学研究科のDr Alan James(フランス海軍)とDr William Philpott(第一次大戦)のお二人で、小一時間ほど、リラックスした雰囲気の中でたくさんのコメントを頂きました。印象深かったコメントは"You are too polite"で、ネタも切り口も面白いんだからもっと自信を持って書け、とのこと。

博士論文を書き上げる上では通過点に過ぎませんが、これで晴れてPhD Candidateを名乗ることができます。次の山は今月末のカンファレンスで、カレッジ外では初の発表となります。 これからも着実に研究を続けていきたいと思います。

強襲揚陸演習を見てきました。

HMS Albion Marines landing Tank landing

あけましておめでとうございます。

さて、本日はポーツマスで実施された強襲揚陸(Amphibious Assault)の演習を見てきました。HMSアルビオン(HMS Albion)を中心とする揚陸特務部隊(UK Amphibious Task Group)の訓練の一環で、近々一連の演習が終わると常時五日以内に展開可能な即応部隊としての準備が完了するとのこと。3名のKCLの博士課程院生と参加させていただいたのですが、他にはシンクタンク研究員、ジャーナリスト、保守党議員も来ていました。ポーツマス軍港から揚陸艇でHMSアルビオンに移動し、艦内ツアーの後ビーチへ移動して演習見学、という日程。演習では偵察部隊の上陸に始まり、本隊を待っての侵入の他、ヘリによる上陸や戦車等の揚陸なども実演されました。

同行した院生は皆元々軍との関係が深く(英国海軍ともコネのある兵器マニア、元イタリア陸軍士官、台湾空軍士官)、いろいろと細かい話を聞くことができたのは収穫でした。自分は兵器やら現代の強襲揚陸などについては無知もいいところですが、司令官、艦長、副長とも話せましたし、艦内ツアーでもいろいろな部署の方に会うことができ、多少なりとも艦の雰囲気のようなものを感じ取ることは出来たと思います。普段は史料から過去を再構成しているわけですが、たまには「海軍」そのものを経験しておくことも無駄ではないのかもしれません。

デイ先生夫妻との邂逅。

博論のサンプル・チャプターを近々提出しなければならない関係で(このプロセスを経て初めてPhD ‘Candidate’になれるのです)、細かい詰めのために久しぶりにThe National Archivesに通っています。比較的空きの多い閲覧室で史料を眺めていると、二年前に東大客員教官を務めていらっしゃった際にお世話になったオーストラリア人のデイ先生と遭遇しました。現在はアバディーン大学に客員教授としていらっしゃっているようで、二日後がとりあえずロンドン研究旅行の最終日と言うことでお昼をご一緒することに。

それが今日で、お昼をご一緒してご婦人のシルヴィアを紹介していただきました。先日刊行された論文をお渡しするとともに最近のご研究について伺いましたが、「占奪する社会(Supplanting Societies)」論のケーススタディとして南極に注目しているとのことで、1911-2年に日本の南極探検を率いた白瀬なる人物について熱く語っておられました。奥さんもリサーチアシスタントして大活躍していらっしゃるようです。いろいろと博論についてのアドバイスも戴いてお別れしました。

デイ先生は昨年もケンブリッジ、アバディーンに滞在していらっしゃいましたし、一体いつオーストラリアに戻られるのでしょうか(笑)。アメリカのイェール大学の先生などのように、半年は授業などをするけれども後は自由に研究に専念(で給料は一年分)、という感じだろうと推測しますが…羨ましい限りです。

War in Historyに掲載されました。

拙稿 'Britain and the resale of Argentine cruisers to Japan before the Russo-Japanese War', War in History, 16:4 (2009): 425-446が発行されました。オンライン版はこちら

日露戦争直前に日本がアルゼンチンから購入した巡洋艦「日進」「春日」に関して、イギリスの関与の検討を通じて当時の日英関係の実態、イギリスの対日政策を明らかにしようとする論文です。日露戦争での日本勝利の背景にイギリスの支援があったというのが通説ですが、アルゼンチン巡洋艦の転売・回航を巡る事例から、イギリスが開戦直前にはむしろ厳密な中立を標榜し日本側の度重なる支援要請には応じていなかったことを論じています。

近藤和彦先生の院ゼミ、及び兵器産業・武器移転史フォーラムで報告させていただいた原稿が元ですが、その後の史料調査も含め多少の充実を図っています。日露戦争や日英関係、イギリス外交政策に関心のある方は是非ご覧下さい。

アジア歴史資料センター。

ガダルカナル戦について論文を書いているイタリア人から問い合わせを受けて、少しだけ第二次大戦中の第三次ソロモン海戦について調べもの。こういうときに非常に便利なのが、オンラインで史料を公開しているアジア歴史資料センターの存在です。年々公開史料が増えており、(多少内容も含めて)検索ができるのもいいですね。ただどうもアジア関連史料のデジタル化に公開範囲を限定している点が気になります。折角のプロジェクトですから、現在の史料公開に区切りが付いたら更に分野を広げて欲しいところ。

関連史料は比較的簡単に見つかりました。イタリア人戦史研究者が期待していた面白い内容ではなさそうですが、少なくとも疑問の一つを解消することはできそうです。

新刊紹介を書きました。

戦略研究学会編集/高橋弘道編著『コーベット(戦略論体系 ─法戞壁舁崕駛次2006年)の新刊紹介が『史学雑誌』第118編7号に掲載されます。原著(Sir Julian S. Corbett, Some Principles of Maritime Strategy)は1911年刊行ですし、翻訳自体も三年前に刊行されているのでもはや「新刊紹介」ではないのですが…歴史、戦略を扱う著作としてだけでなく、同時代の海洋戦略を巡る議論の中で重要な位置を占めている著作として紹介を試みました。

コーベットの著作の実証度は高く、例えば日露戦争に関する著作はイギリス観戦武官報告、日本の極秘海戦史、ロシア側史料などを利用したもので、今でも参照に耐える基本文献です(これらの史料を全て扱う日露戦争研究はその後現れていません)。今回新刊紹介を書かせていただいた『海洋戦略の諸原則』は、歴史研究が背景にある戦略論だからこそ、現代にも通じる有用性を持つ著作となっています。

コーベットに関連しては、平野龍二「海洋限定戦争としての日清戦争」『軍事史学』第44巻、第4号(2009年)、97-115頁がコーベットの海洋戦略論を援用して日清戦争の戦争指導を分析しています。「制海」など訳語の指摘も面白い。

東洋アフリカ研究所図書館。

ブリティッシュ・ミュージアムすぐ近くある東洋アフリカ研究所(SOAS)の図書館に、恥ずかしながら渡英後一年半以上経ってようやく足を踏み入れました。まぁ、基本的には文書館通いを続けていたのでしょうがないのですが。最近日本海軍軍令部の組織についてちょっとした調べ物をしているので、日本海軍関係の邦語文献を参照する必要が出てきたのでした。あらゆる著作があると言うわけには行きませんが、基本的な著作や重要な史料集のたぐいは一通りそろっているという印象です。特に、『海軍制度沿革』が揃っていたりと陸海軍組織に関する著作はかなりありますし、『戦史叢書』もあるようです(現物は未確認ですが)。面白い所では、陸軍参謀本部諜報局作成の『海外情報』なるものが少しあるようで、次回行くときには目を通してこようと思っています。

夏期休暇に入っているためか、利用者が少なく快適に過ごすことができました。東アジア関係についての洋書を見るには非常に便利な図書館なので、今後通う頻度が上がりそうです。

著作権について補足。

以前の記事の補足です。指導教官にも確認してみたのですが、やっぱり著作権法の解釈としては記事の通り。「(小声で)本を書いても著作権者の許可を取らない人はいるんだよ。でも論文の最終工程として、折角の機会だし引用の許可をもとめる手紙を出してみてもいいんじゃないか。」…とのことでした。ただ著作権者から許可を取るのもいろいろと面倒で、だいたいのケースではその私文書を抱える文書館などに著作権者の情報を照会して、著作権者へ引用の許可申請、と進むようです。努力義務の最終段階は、タイムズ紙への広告なんだとか…この辺の手続きの細かいことについては、Locating U.K. Copyright Holdersが詳しいのでご参照あれ。

追記:
著作権者の情報をまとめたデータベース(The WATCH File: Writers, Artists and Their Copyright Holders)もありました。載っていない情報もあるようですが…

『歴史学研究』に掲載されました。

「20世紀初頭の英国海軍史における修正主義:フィッシャー期、1904-1919」が『歴史学研究』851号(2009年3月)、15-23頁に掲載されました。英米での海軍史研究の一つの焦点となっている20世紀初頭(戦艦「ドレッドノートDreadnought」や英独建艦競争で有名な時期)についての研究動向論文で、これまでイギリス外交史・海軍史の中で通説とされてきた理解を覆す修正主義的研究を主に紹介しています。註38で軽く言及した、修正主義を乗り越える研究がさらに続々と登場しつつあるようなのですが、それはまた別の機会に…。印刷所の手違いで一ページ上下にずれてしまっていますが、興味のある方は手に取ってみてください。

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