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  • 2016.09.24 Saturday
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拙訳『コーベット海洋戦略の諸原則』が刊行されました。

 

 

この度、原書房から拙訳『コーベット海洋戦略の諸原則』が刊行されました。Julian S. Corbett, Some Principles of Maritime Strategy (London, 1911)の完全新訳ですが、詳細な註と編者序文、附録「グリーンパンフレット」をつけて1988年に出版された米海軍研究所版を底本としています。

 

本書は、チューダー期から日露戦争までの海軍史研究に基づいて、制海とシーレーン、経済封鎖、統合作戦、限定戦争など現代にも通用する概念を理論化した海洋戦略論の古典です。コーベットの海洋戦略は現代の各国海軍に大きな影響を及ぼしており、本書には歴史的価値だけでなく現代的有用性もあります。

 

邦訳としては2006年に芙蓉書房『戦略論大系』シリーズの第八巻として刊行されたものがありますが、『史学雑誌』の新刊紹介でも触れたとおり、訳に少なからぬ問題がありました。コーベットの海洋戦略論がきちんと日本に紹介されていないことが常々気掛かりだったので(最近では日本でもコーベットの海洋戦略論を評価する論文が増えているようですが)、今回原書房から新訳を刊行する機会に恵まれたことで胸のつかえが取れた気がします。

 

なお、一部編註の誤りは編者と相談の上で修正しているほか、イギリス海軍史にあまり馴染みのない日本の読者向けに、訳註の追加や索引のアップデート、原書に含まれない地図の追加なども行っております。

 

既に各書店に並んでいるはずですし、Amazonからも購入できますので、興味がある方は手に取っていただければ幸いです。


目次:

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「イギリス海軍史研究とその利用史料」を寄稿しました。

『クリオ』第24号(2010年5月)の「欧州文書館事情」という特別企画に、「イギリス海軍史研究とその利用史料:国立海事博物館ケアード図書館を中心に」を寄稿しました。自分が研究に利用している史料の概要、そしてケアード図書館の利用方法や2009年前半の閉館をめぐる経緯などを紹介させていただきました。

『クリオ』は東京大学西洋史学研究室クリオの会が発行する院生雑誌で、毎年日本西洋史学会で販売しています。今回の企画は17人の東京大学の院生がそれぞれの研究テーマに関わる史料や文書館の紹介をするもので、英独仏露伊の様々な文書館について経験に基づく具体的な利用情報がまとめられています。個別の文書館の簡単な案内としても使えますが、これから歴史研究を進めていこうという学生・院生の方には、特に具体的な体験談が参考になるのではないでしょうか。

『クリオ』第24号は、東大クリオの会が通信販売しております。関心のある方は、東大クリオの会(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/seiyoshi/clio.html; clionokai@gmail.com)まで。

NATO掃海グループ訪問。

Nato visit 1 Nato visit 2 Nato visit 3

NATO艦隊のロンドン訪問にあわせて、戦争研究学科有志による見学会が開催されました。北大西洋条約機構即応部隊常設第二掃海グループ(SNMCMG2: Standing NRF Mine Counter Measures Group 2)の四隻で、伊フリゲート艦グラナティエーレ(ITS Granatiere)を旗艦とする、機雷掃討艦のリミニ(ITS Rimini、イタリア)、セグラ(ESPS Segura、スペイン)、アマスラ(TCG Amasra、トルコ)という陣容。これに本来はドイツ艦も加わります。司令官であるラパリーノ大佐自身も海軍史家で、戦争研究学科のセミナーで昨年発表していただきました。

旗艦のグラナティエーレは、もともとイラク海軍がイタリアの造船所に発注して建造されたものですが、引渡前にイラン・イラク戦争が再燃(1986)してしまい、以後引き取り手がいなかったのをイタリア海軍が安く買い叩いたとのこと。日露戦争直前に日本が購入した、イタリアのジェノヴァで建造されていたアルゼンチン海軍向けの巡洋艦(日本名「日進」「春日」)もそうでしたが、当初機器の説明がアラビア語で書かれていたためだいぶ苦労したんだそうです(「日進」「春日」の場合はスペイン語)。もう一隻訪れたのは同じくイタリアの機雷掃討艦リミニ。ソナーで機雷を探し、リモコン式の無人機やダイバーにより爆破します。ロンドンを訪問する直前には、第一・第二グループ共にフランスのソンム湾での機雷掃討作戦(第二次大戦時のもの)に従事していた模様。

左端は、カナリー・ウォーフ駅近くのWest India Milwall Docksに停泊するSNMCMG2
真ん中は、リモコン式の無人機Pluto Gigas
右端は、リミニ(左)とセグラ(右)

海軍史著作リストを作りました。

最近、イギリス海軍に関わる著作が日本でも少しづつ増えているという印象があります。これは書籍(学術・一般を問わず)の出版から言えることですが、学術論文に関しても同様のようで、自分の研究関心に近い論文については日本から取り寄せたりもしています。

日本における海軍史研究状況は最近どうなのか、というのは、昨年の日英歴史家会議でジョン・ダーウィン教授によって投げかけられていた質問でもあります。1994年までの日本の研究状況については、J. Hattendorf (ed.), Ubi Sumus?: The state of naval and maritime history (Rhodes Is., 1994)に、日本海軍史研究者のマーク・ピーティ教授、デイヴィッド・エヴァンス教授によるかなり悲観的な報告が掲載されていましたが、その後変化はあったのでしょうか。

自分でも気になって、今回、不完全ながら海軍史著作リストを作ってみました。折角の機会ですので、イギリスだけでなく、ヨーロッパ諸国、日本なども含めました。一度に過去全ての論文をリスト化するというのは大変ですので、最近のものから少しずつ遡る方針で作っています。今のところ、2007年から2009年までに限定していますが、改めて著作の多さに驚きました。

海軍史著作リスト

基本的にはCiNiiの検索(キーワード:海軍)に頼っていますので、取り上げられていない文献も多々あるかも知れません。特に書籍に収録されている論文は検索に掛かりませんので、見落としがあるかと思います。追記すべき書籍・論文などに気付かれた方は、ぜひinfo[@]navalhistory.jpまでご連絡下さい。

無事終了!

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ハドソントラスト海軍史カンファレンス@オールソウルズ・カレッジですが、大過なく終了しました。二日間で延べ60人を超える出席者に恵まれ、部屋の収容人数を理由に出席希望を断らねばならないほど。オックスフォードでの開催に加え、近年イギリスでは海軍史に特化したカンファレンスが開かれておらず、また隔年開催されている米・豪の海軍史国際会議の開催年でなかったことも幸いしたのか、英米豪を代表する海軍史家に加え、各国の陸海軍士官や院生が一堂に会しました。さらに、ゲストスピーカーとしてティム・ローレンス英海軍中将(アン王女の配偶者!)も。

私の報告は第一パネルの二番目で、コメントのスコアは中将×1、少将×1、教授×1、院生×1。ご自身が「戦略防衛再考(Strategic Defence Review)」に関わっていたからでしょうか、中将のディナースピーチでは「改革」を扱っていた私の研究にも触れてくださいました。フォーマル・ディナーではタキシードとハイテーブルを初体験(タキシードを借りたMoss Brosの不手際で少々苦労しました)。ディナーとデザートの間にはカレッジ内のツアーもあり、チャペルと図書館をストローン教授に案内していただきました。

二日目最後のパネルでは英米豪の著名な海軍史研究者がそれぞれ現代の海軍と海軍史の将来について語りましたが、彼らの関心がアジアにも向けられていることを知り、心強く思いました。カンファレンスを通じて熱い議論が交わされ全体としては成功だったと思いますし、オーガナイザーとして何より大きな問題なく終わってほっとしています。二人の仲間にも恵まれ、これだけの規模のカンファレンスに立ち上げから関われたことは、非常に有益な経験となりました。

アブストラクトなど。

ハドソントラスト海軍史カンファレンスを週末に控え、自分のペーパーの準備とカンファレンスの準備などで忙しい日が続いています。オックスフォードでの開催のためカレッジとの交渉などに関わってはいないのですが、それ以外の作業は極力引き受けるようにしています。そんなこんなで、要旨集が出来あがりました。

報告者もそうですが参加者もVIP揃いで、なんとロイヤル・ファミリーのお一人(英海軍中将)が出席されます。初日夜はオールソウルズ・カレッジでのフォーマルディナーで、ブラックタイ着用の予定。予想以上に事が大きくなってしまい、また自分の発表の準備もしなければならないので落ち着きません。

『亡国のイージス』

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Mini-Vivaも終わったということで、戦争学研究科Asian Security & Warfare Research Group主催の『亡国のイージス』鑑賞会に参加してみました。時間の制約のせいか登場人物の掘り下げが足りない気がしましたし、物語の展開もご都合主義的だったり不自然だったりするため、鑑賞中に周囲から失笑が漏れていたように思います。最後の演出など、ハリウッド映画『ザ・ロック』のパクリか?という指摘もありました。原作をまだ読んでいないので、そちらでどう描かれていたのか気になる所ですが。ただ、日本の安全保障のジレンマが強調して描かれており、戦後の日本の安全保障に関心を持つ欧米の学生にとっては、取っ掛かりとして有益なのかも知れません。

Mini-Viva通過。

カレッジにもよりますが、イギリスの大学はだいたいM.Phil.コースへ入学後一年程度経ってから、博士論文を執筆する研究能力があるかを判断することになっています。もしこの段階で研究能力が不十分と判断されれば、最悪の場合、M.Phil.として“卒業させられる”ことになります。(なお、KCLではこの過程をアップグレードと呼びますが、オックスブリッジなどではトランスファーと呼ぶ模様。)

本日、このアップグレードの可否を判断するMini-Vivaがあり、PhDへのアップグレードが認められました。試験官は同じ戦争学研究科のDr Alan James(フランス海軍)とDr William Philpott(第一次大戦)のお二人で、小一時間ほど、リラックスした雰囲気の中でたくさんのコメントを頂きました。印象深かったコメントは"You are too polite"で、ネタも切り口も面白いんだからもっと自信を持って書け、とのこと。

博士論文を書き上げる上では通過点に過ぎませんが、これで晴れてPhD Candidateを名乗ることができます。次の山は今月末のカンファレンスで、カレッジ外では初の発表となります。 これからも着実に研究を続けていきたいと思います。

Military Orientalism by Patrick Porter

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上記の本について、パトリック・ポーター博士による出版記念講演がありました。同じカレッジとはいえ、より専門色が強い防衛学科(統合軍指揮幕僚大学との併設で、基本的に軍関係者の教育に携わる)に所属している方です。アルカイダやタリバン、ヒズボラなどを相手にする中で、米軍も文化的転回(cultural turn)を迎え、90年代に賛美されていたRMAから文化へと関心が遷っているとのこと。しかし、ポーター氏は、こうした文化への関心(イスラム原理主義は中世以来の文化的コードに縛られていると考え、その前提に立って米軍として取るべき行動を選択する)はしばしば誤解に満ちていると主張し、サイードに倣ってこれをミリタリー・オリエンタリズムと呼びます。

ポーター氏によれば、イスラム原理主義者は(他のあらゆる集団についても同様ですが)、むしろローカル/グローバルな政治利害の中で戦略・戦術・文化的コードを変化させる柔軟さを持ち、自らの文化的表象を意図的に広めているとのこと。CIAの女性が、自分たちにオリエンタリズムは一切無いと断言しながら、タリバンが中世の価値観で動いているとの主張を続けたという下りには、かなりの笑いが起きていました。文化は非常に重要。でも現在の文化理解は間違っている、という結論でした。

日露戦争に触れていることもあって本も一部読んだのですが、現代的関心と歴史研究が非常に上手く融合されていると思います(博士号は歴史学)。前日にはテルアビブ大学のアザー・ガット教授が「変化する戦争の性質(The Changing Character of War)」というタイトルで講演していましたが、個人的には議論も含めて今日の講演の方が面白かったな、という印象でした。ちなみに、著者の議論については、仏ルモンド紙のインタビューや米陸軍刊行の雑誌記事でも知ることが出来ます。

リストラ@KCL。

国際的な経済危機にあって、大学・教育予算が削られるというのはどこも一緒のようです。キングス・カレッジ・ロンドンも、古文書学や哲学など人文系研究者をリストラするという改革案が大々的に報じられ、研究者やメディアの批判を受けている模様。社会科学・公共政策学部に属し比較的資金調達に成功している(ように見える)戦争学科でさえ、今以上にアメリカから交換留学生を集めるために「政治学科」などに変更しろと要求されたという噂を聞きます。

同じカレッジの話と言うことで関心を持って情報を追っていますが、批判の矛先の違いが気になりました。昨年末、日本では教育・研究関連予算の縮減を提言した事業仕分けが問題になりましたが、この際批判されたのは基本的には政府。イギリスでも、10%近くの大学助成金削減を号礼したのは労働党政府ですが(小さな政府路線の保守党は、助成金削減をむしろ歓迎。スコットランド議会は教育予算を増額するというニュースも)、批判に晒されているのは国ではなく大学。この背景には、各ユニヴァーシティ/カレッジがイニシアチヴを取って独自に改革を進めていることがあると思いますが、日本でも今後そうなっていくんでしょうか。

キングスのリストラに関しても、どうも予算配分の変更という意味合いもあるみたいで。イギリス現代史の研究センターがキングスに移ってくるなんてが本当だとすれば、個人的には複雑な感情を持たざるを得ません。

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